忘れてしまうこと

時々、忘れてしまうことが、怖くて悲しくなってくる。

いつか君のことも忘れてしまう。
少しは覚えていると思うけど、だいたいの細かいことはきっと忘れてしまうだろう。こんなにいつも一緒にいるのに。

綺麗な空を見たのも忘れてしまう。
思い出すことができるあの綺麗な空は、たしか17歳のときに自転車で帰り道に見た、冬の太陽が沈んでいく光景だ。でもきっと三分の一くらいは忘れてしまっている。その代わりに無意識の想像で忘れた分を補っている。

こんなにいろいろ忘れてしまったら、生きている意味がないんんじゃないかと思う。
だから、書こう。

 

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流れ星

冬の寒い夜。頬にあたる風は、冷たいけれど透き通っている。年末だから空気がきれいなのかもしれない。
ぼーっと空を眺めながら家に向かって歩いていたら、流れ星が落ちるのが見えた。オリオン座の下のあたり。同じをじっと見る。もしかしたら錯覚だったのかもしれない。

あっ、と思った瞬間、小さな白い光が、さっと流れてまた消えた。

何かの流星群が来ているのかもしれない。立ち止まって空を眺め続けたけれど、もう流れ星は見えなかった。

 

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