ビルの建て方

もう、けっこう随分、大人になったのに、ビルの建て方がわからない。

もちろんちょっと調べれば、知識として知ることができるけど、実際に一人では建てられない。ビルどころか、掘っ立て小屋でさえ建てられない。きっと大雪が降ったら潰れてしまう。

小さな頃は、大人になったら、ビルが建てられるだろうと思っていた。
ホームランもバンバン打てるし、電車も運転できると思っていた。
でも実際は、こんなに大人になったのに、僕は何一つできない。

「そんなの、できなくて当たり前じゃん」って今は思う。
「じゃあ代わりに何ができるの?」とも思う。

電車を待つホームで、母親に「大人になったらできる?」と質問して、「できるよ」という答えを聞いて安心していたあの頃。
大人になった今、電車の運転士になった自分を想像してみても、いまいちしっくりこない。僕はなるべくして今の職業を選んだみたいだ。

できることは少ないけれど、好きなことはたくさんあるから、まあいいかな。
そういえば、ホームランも何回か打てたし。

髪結い

さて。

髪を切るのは大っ嫌いなのですが、とうとう観念して髪を切りに行ってきました。 このまま本当にヒッピーのような容貌になってもよかったのだろうけれど、70年代は遥か昔のこととなり、僕が髪をぼさぼさに伸ばそうが世界は平和になりそうもないので、あきらめて髪を切りました。

なぜ僕は髪を切るのが嫌いなのでしょう? とにかく嫌いなのです。 髪型なんて知ったこっちゃないのです。 なのに「今日はどんな感じにしますか?」と訊かれても困ってしまうのです。 いつも同じような髪型にしていればこんなに困らないのだろうけど、僕の髪型は伸びるのにまかせて変わっていくので、どうしようもありません。

髪を切り終わる頃、「失礼ですがお幾つですか?年齢は」と訊かれました。 彼によると、僕は何歳にでも見える、とのことです。 20歳から29歳まで。 そういえばそんな「何やってんのかわかんない人」を時々街中で見かけるけれど、僕もそんな人達の仲間入りをしてしまったのだなぁと思うと、感慨深いものがありました。 そう言えば僕の周りにも「何やってんのかわかんない人」は多いような気がします。 でも僕は自分が何をしているのか分かっているつもりなので、そんなに心配しないでください。 あなたにもいつか分かります。 それでは。

playback  いちょう、ひらり。 2000.04.30