けいたいでんわ

何がなんだかわかんないけど、むかつくことがある。「お前はどおしてそうなんだ〜!!」と、叫びたくなることがある。もちろん叫びはしない。僕の目が汚くにごるだけである。

今日、電車の中で、「ピポパラパパ…」と、誰かの携帯が鳴った。 するとたいていの人は、チラッとその音の主を見やって、何事も無かったかのように元の視線に戻る。

が。なかにはそうじゃない人もいる。じ〜っと電話をしている人を睨んでいる。 その人にはよっぽど気に入らないのだろう。他人が、彼だけの世界に入り込んでいるということが。

満員電車の中ならともかく、今日僕が見たのは、人もまばらな車内で、大学生風の彼は、ひそひそと隠れるように話していた。 僕は、彼をじ〜っと睨んでいる主婦風中年おばさんを、にごった眼で10秒ほど睨んでいた。

なぜだろう?主婦風中年おばさんが正しいということは分かっているのに。「私は社会を代表して、あなたを睨んでいるのよ」という雰囲気を憎んだのだろうか。 このおばさんのような行動を取る人は結構いる。僕はその度に睨みつづけるのだろうか。

それは、自分の社会性の足りなさを、心のどこかで恥じていることの、裏返しかもしれないな。 という考えが頭から離れなかった。

ちなみに、僕は電車に乗っている時は、携帯を「マナーモード」にしているけれど、電話がかかってきたら迷わず話す。 大きな声じゃなければ、最初に、『今電車の中なんだけど・・・』といえばOK。ということになっている。 もちろんこの言葉は、電話をかけてきた相手ではなく、周囲の乗客に対して言っているのだ。

playback  いちょう、ひらり。 2000.01.30

 

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フライドポテトのこと

仕事帰りに飛び乗った電車は、フライドポテトの匂いに満ちていた。

こっそり周りを見渡すと、隣に座っているジャージ姿の高校生がマクドナルドの紙袋を抱えている。よく見ると、向かいのドアの側に立った女の子もマクドナルドの紙袋を持っていた。さらに、向かいのベンチシートの左端に座った女の子はモスバーガーだった。

郊外に向かう乗車率80%くらいの車両の中は、妙に静かだった。誰も話さない。
きっとみんな、ハンバーガーやフライドポテトのことを考えているのだろう。

モスバーガーとマクドナルドだったら、断然、マクドナルドのポテトのほうが好きだ。塩味の効いたフライドポテトの味を想像すると、猛烈にお腹が減ってきた。

仕事で頭が疲れていたせいか、うっかり「モス」と呟いてしまう。
車内の空気が少し震える。

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