猫とビール

今年の夏も田舎に帰りました。 新幹線に乗って、名鉄電車に乗って、駅から家まで歩いて、玄関のチャイムを鳴らして、ドアを開けると、猫がいました。

僕らが小学生の頃は、一つ下の弟が何度犬や猫を拾ってきても飼うことを許さなかった父親も、50歳を過ぎて丸くなったのか、今年中学三年生になる一番下の弟が拾ってくると、しぶしぶ飼うことを許したのでした。 いいなぁ、猫。 僕は可愛げのない、物分りの良すぎる少年だったので、弟と違って捨て猫を家に持って帰ったりしなかったのですが、「猫が飼える」ということで初めて一番下の弟に嫉妬しました。

僕は猫が好きです。 どこが好きなのかというと、あの寂しそうな目が好きです。 弱そうなところが好きです。 抱いたときの柔らかさが好きです。 何だか女の子を好きな理由と同じような理由で好きです。

東京で一人暮しをしている身としては、猫を飼うのはとても難しいことです。 でも実家で「トラ」を見ながらビールを飲んでいると、猫が飼えるような場所に引っ越すのもいいかなぁ、と思いました。

playback  いちょう、ひらり。 2000.08.30

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