センター試験と100%のこと

駅から家に帰る途中に、大学受験の予備校がある。

通りからガラス扉の中を覗くと「センター試験まであとXX日」という「日めくり」が掲げられている。1階の入り口近くは自習スペースになっていて、机に向かっている生徒の姿が見える。生徒の後姿と日めくりの数字が小さくなっていくのをチラリと眺めて帰るのが日課になっていたのだけれど、とうとう、その日めくりが「あと1日」になった。

いつもは夜の9時を過ぎると、帰宅する生徒や車で迎えに来た親御さんで混雑するのだが、さすがに前日ともなると人影もまばらだ。
毎日、名前も知らない生徒たちの姿を見るのが楽しみだったので、少し寂しくなる。

生徒たちは、遠くから見ると一生懸命に勉強しているように見える(もしかしたら息抜きしていたかもしれないが)。でも、「とりあえず、今のところは100%受験勉強だけ頑張ろう」という顔をしている。
100%何かに集中している姿はかっこいい。スポーツの選手のような、研ぎ澄まされた雰囲気。100%がうらやましい。

大人になると、なにか一つのことに対して100%の力を注ぐことはあまりない。というか状況が許さない。仕事や家庭や、趣味や友達や、デートやPTAや、新年会の幹事やダイエットや、恋人探しや自分磨きや、いろんなことに100%しかない頑張りを振り分けないといけない。言い訳かもしれないけれど。

いま、本当に好きな1つのことだけを100%頑張るなら、代わりに何を捨てようか?

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