スターバックスと個人的趣味

スターバックスが嫌いだ。 全席禁煙だし、渋谷のハチ公口の店が象徴する、商業主義・宣伝主義的なところも嫌いだ。 食器を洗うための人件費をカットするために、陶器じゃなくてプラスチックの容器を使うのも嫌いだし、ホットコーヒーに蓋がついていて、それを付けたまま飲むスタイルも、コーヒーの香りが楽しめなくて嫌いだ。 「コーヒーの香りを楽しんで頂くため」に禁煙にしているのに、ホットコーヒーに蓋がついているのは、矛盾しているのではないだろうか。

それでも世はスターバックスブームみたいだ。 なんと言っても内装がお洒落だし、コーヒーやスムージーは甘い味付けだ。 最近流行りのエスプレッソも、ドトールよりは美味しい。 それは、「女性客のリピーターを捕まえれば儲かる」という飲食店の基本にのっとっている。

じゃあ、お前がスターバックスに行かなければいい。ということになるのだが、それにしても何だかやるせない。 「売ろう、儲かろう」と言って本当にその通りになっているのを見ると、日本の音楽シーンのヒットチャートを思い起こさせる。 そして僕はモーニング娘が嫌いだ。

ここまで書いておいて何なのだけれど、僕は今日も、神保町のスターバックスに行ってしまった。 あの甘い「カフェモカ」の虜になってしまったのだ。

今の世の中、「嫌い」だからと言ってそれを全部避けることはできない。

playback  いちょう、ひらり。 2000.06.18

トイレと陰謀

風邪気味で、朝からお腹の調子が悪かった。 僕は仕事が終わるとすぐに、地下鉄のトイレに駆け込んだ。 ドアを開けると、水が流れる音がしていた。 でも実際に水が流れているわけではなくて、それは用を足すときの音をかき消すための「音姫」という名前の装置だった。 こんなもの男性トイレにあっても意味は無いんじゃないかと少し思った。

赤外線か何かで、人が座っていると作動するらしく、しばらくその水の音は流れっぱなしだった。 なんだか急かされているような気がした。 もしかしたらこの装置を備えつけた人は、用を足すのを早く済まさせることを目的としたのかもしれない。 だとしたらその目論見はまんまと成功したことになる。 僕はその音が気になってしょうがなかったので、急いで中途半端に済ませてしまったのだ。

さて立ち上がって水を流そうとしたのだが、水を流すためのレバーなりボタンなりが見当たらない。 よく見るとプラスチックのプレートがあった。 「このトイレは人が場所を離れると自動的に水が流れます」

僕は自嘲的な笑みを浮かべた。 人であろうと機械であろうと、人に下の世話をしてもらうなんて、なんだか恥ずかしかった。 もしこの装置の調子が悪くなったら、どうするつもりなのだろう。 まあ、「使用中止」の張り紙が張られるだけなんだろうけど、何か間違っているような気がした。

これも永田町の陰謀の一つなのだろうか。 ところで世の中には、居酒屋で同席している女の子がトイレに行くと、「おしぼり」を持ってトイレの横で待っている男がいるというのは本当なのだろうか。

playback  いちょう、ひらり。 2000.06.12