ナルシスト

ボクシングの世界ライト級タイトルマッチを見に、両国の国技館に行ってきました。 ボクシングなんて今までテレビで見るくらいだったけど、タダ券が手に入ったんです。

行きの電車で、挑戦者の坂本博之を見ました。 目の前の席に座っていたんです。 まわりを屈強な男たちに囲まれていたけど、顔を知っていなければ、とても世界タイトル挑戦者には見えないような、普通の人でした。 国技館まで彼らの後ろをついて行ったら、ダフ屋の兄ちゃんが券を売ろうとしていて、おやじに怒られていました。 それくらい、「ただの兄ちゃん」ぷりを発揮していたんです。

前座の試合がたくさんありました。 名もないボクサーがたくさんいました。 「背筋」に惹かれました。 背中が引き締まっているってうらやましい。 僕の背筋は、ややぶよぶよなんです。

最近、精悍になりたいと、こっそり思っています。 ハングリーに生きたいと思っています。 ややMの気があるのでしょうか、自分をいじめてみたくなります。 狼の目を持ちたい。 野生の血が騒ぐぞ。 オレは強くなるんだぁ。

なんて、想像していたとおり、ボクシングを見たら、「にわか心意気だけボクサー気分」になってしまいました。 任侠映画を見たら、なんだか強くなった気がするように。

ナルシズムを大いに刺激された一日でした。

playback  いちょう、ひらり。 2000.03.12

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