とうきょう

帰り道、小さな公園があって、水飲みの蛇口から、水が噴水のように吹き出していた。 辺りは水浸しで、道路まで湿った土の染みがとどいていた。

周りには誰もいなくて、小学生のいたずらだろうか。 水を止めようと近づいてみると、蛇口が根元から取れていて、ボトリ。 水道局に電話しなきゃいけないな、と思ってみたものの、疲れ気味の僕は、まあいいか。と。 午後5時過ぎ。 もうすぐ夜だ。風も冷たい。 2秒ほど足を止めて、そのまま立ち去ろうとすると、公園の反対側の入り口から、犬を連れた主婦が。 あらあら。という顔をして、僕とすれ違う。 どうして水を止めないのかしら。

エプロン姿の主婦は、蛇口に近づいてみて、状況を理解したらしい。 ちらっと、こっちを見た。 お願いします。 僕はさっそうと駅へと向かった。 今日のご飯は何にしようか。

playback  いちょう、ひらり。 2000.02.14

にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です