「かまくらやみほとけなれど釈迦牟尼は美男におわす夏木立かな」
与謝野晶子
高徳院に行くのは2回目だ。
何年か前に大仏を見たのは、暑い夏の午後だった。蝉の声が境内に満ちていた。
木々の緑、空の青、大仏のくすんだ青銅色。汗を拭きながら大仏を見上げ、あの時何を思っていたのだろう?
記憶通りに拝観料を払ってお寺の門をくぐる。冬の夕日に映える大仏が見える。
斜めから大仏の顔を見ると、思ったより、頬がふっくらとしていて、生き生きと力強い。壮健な若者のようにも見える。もちろん仏様に年齢なんてないと思うけど、何歳くらいの男をモデルにしているのだろう?境内にあった与謝野晶子の碑に「美男」なんて歌われているものだから、そんなことを考えてしまう。
いつか鎌倉の大仏よりも年上になるのか。
大仏を見上げながら、表情には出さないが、ものすごく驚いていた。