草花を見ました。 ものすごく久しぶりに。 青くて、花びらが4枚ありました。 残念ながらその草花の名前はわからなかったけれど、小さな頃よく見た花でした。 寝転んでいたら耳の横で揺れていたのです。 草花をじっと見るなんて久しぶりでした。 桜やコブシや金木犀みたいな派手な花だったら気にするだろうけど。
今日のガラス現場は、埼玉の、とある中くらいの川の横に建つ小さな工場でした。 30分休憩が二回と、お昼ご飯休憩があるのだけれど、今日は暖かくて天気もよかったので、舗装されていない川の堤防で休憩をしました。 そこにその草花はいっぱい生えていたんです。 仕事が終わった時には少し、しぼんでいました。
それにしても今日はまるで春でしたね。 ほぼ春でした。 風も春っぽくて、あやうくもう春になったんだと勘違いするところでした。 油断してはいけません。 春は、遠くにありて思うものなのです。 もうすぐまた冬に逆戻りして、なごり雪なんかが降っちゃうくらい寒くなるんです。 そんな時、そのなごり雪を悲観的に感じないように、僕はまだ春になったとは認めません。 なごり雪が降っても、なんだよまだ冬なのかよ、と感じるのは不幸の極みです。
休憩時間、僕は缶コーヒーを飲んでいました。 セブンスターを片手に。 で、その時気がついたのだけれど、セブンスターを吸いながらジョージア・エメラルドブルーマウンテンを飲むと、パピコ(二つにぱきっと折れてちゅうちゅう吸って食べるコーヒー味のアイス)の味がするんです。 その大発見に僕はわくわくして、先輩にも試してもらいました。 彼いわく、「コーヒーの苦味が強すぎる」らしいです。 僕のパピコと彼のパピコは似て異なるものなのでしょう。
先程、病院のバイトから帰ってきました。 東十条の駅を降りると、何だかいい匂いがしました。 一瞬、春の夜の匂いかと思いました。 とうとうやっぱり春なのか。 で、歩きながらよくよく考えてみると、雨が降る直前の匂いでした。 乾いて熱せられたアスファルトが水に濡れる匂いのような。 それをちょっとマイルドにして、濡れた木の匂いを混ぜたような。 今日は暖かくて湿度も高いので、冬の雨とは違った匂いがしたんです。 また騙されるところでした。
なんだかんだ言って、どうやら僕は、春になるのを人並み以上に期待して待っているようです。
playback いちょう、ひらり。 2000.03.03