自販機

自販機で煙草を買おうとしたら、千円札が機械に吸い込まれてしまった。 角が折れていたのがいけなかったようだ。 入れている途中で気付いていたのだが、機械がどんどん飲み込んでいくパワーに圧倒され、僕は千円札が吸い込まれていくのを見ていることしかできなかった。 ボタンを押しても煙草は出てこないし、返却レバーを回しても千円札は戻ってこない。 やさしく返却レバーをまわしても戻ってこないし、スニーカーで蹴っ飛ばしても戻ってこない。 僕の千円札は機械にとって「無かったこと」になってしまった。 機械に「知らんぷり」されたら何をしても無駄だということを僕は実感した。

その自販機の所有者であろうタバコ屋さんは、ゴールデンウィークで5日まで休みだという張り紙がシャッターに張ってあったのだが、千円札を僕は取り戻すことができるのだろうか、心配だ。 とりあえずシャッターの新聞受けに、名前と日時を書いた「千円吸い込まれました」というメモを入れておいたが、分かってくれるのだろうか。 逆に怒られたりするのだろうか、心配だ。

それにしても自販機にお金を吸い込まれるのは、今年に入って3回目だということが気になる。 いくらなんでも多すぎやしないだろうか。 「自販機と相性が悪い」と言ってもいいのじゃないだろうか。 煙草と缶コーヒーで1日2、3回自販機を使っていたら、こんなものなのだろうか。 ちなみに1回目は静岡の新幹線のホームで2回目は埼玉県のとある町のとある中華料理屋の前の自販機なのだけれど。 そして今日は駒込銀座。 何らかの繋がりがありそうだ。

時々お金が吸い込まれることは諦めるから、「当たり」つき自販機を復活させてはくれまいか。 誰に頼めばいいのか分からないけれど。

playback  いちょう、ひらり。 2000.05.01